高校生部門を立ち上げる背景と想い

4月から少しずつ準備をしてきた高校生部門。いよいよ教室となる物件も決まり、申し込み手続きをしてきました。平井駅北口から徒歩30秒。ダッシュすれば10秒。C.schoolの小中学生教室からも5分程度の距離のところにあります。今日は立ち上げるに至った背景と想いを書きたいと思います。

元々、私が塾をつくろうと思った背景は、「子どもたちの主体的な進路選択の実現」をサポートしたいと思ったからです。具体的に言うと、大学・学部や高校の選択肢を知り、自分の興味や関心を知り、その上で、自分の意志で志望校を決めること。そして、その自分で決めた目標に対して努力をして合格すること。そのプロセスを伴走したいと思ったことがあります。最初はその思いで学校教員になりましたが、塾の方がより一人ひとりの受験に深く関われると思ったので塾をやることにしました。

正直言えば、何を選んだとしても、それが正解かどうかはわかりません。大抵の場合、どんな選択をしたって、結局は良いこともあれば良くないこともあるものです。他の人にとって良いものだって、自分にとっては良いものではないこともある。すべては選んだ後に、その選択を正解にするための行動ができるかどうかにかかっています。じゃあ、選択に意味がないのかと言えば、むしろ、その選択こそがその選択を正解にする行動をドライブすると考えています。たくさん調べて、たくさん人の話を聞いて、考えに考え抜いて決めた答えだからこそ、その選択を正解にしていこうと思える。誰かに選択を委ねることは楽だけれど、その選択の先には、少しでも嫌なことがあったら他責にして生きる人生になりかねない。自分自身の経験からそう思っています。

結論、シンプルに「自分の意志で決めて行動した方が人生楽しいよね」と思っているんですね。

でもそれって簡単じゃなくて、私もいろんな人に助けてもらってきました。「自分の意志で決めて行動する」ためには、「決めるための情報」や「自分のことをよく知る機会」、「決めるために情報を整理する力」が必要です。また、決めるだけで終わってしまったら意味がないので、その決めた目標を達成するための道筋を描き、そのチャレンジをやり切る力も不可欠。

それらの力を身につけたら、主体的に楽しく生きていくことができる。多くの子どもたちにとって、人生で最初の人生選択のタイミングである高校受験で、「選択する力」と「自律的に学ぶ力」を身につけるサポートをしたいと思ったことが、中学校の教員になり、中学生向けの塾を作った理由でした。正解はわからない、というか、正解なんてないとも言えるけど、全部正解とも言える。だからこそ、経験や情報をシェアして、視野を広げて、一緒に考えることはできる。挑戦する環境や(勉強を教えることを含めて)成長のサポートをすることはできる。それこそが保護者の方々や教育に関わる大人の役割なのかなと思っています。

そう信じて、高校受験を全力疾走で伴走してきたつもりですが、やりきれていない部分も感じていました。今年は3月に高校生準備講座として英語や数学の勉強に加え、特別授業等も実施し、中学生のうちに伝えられることは伝え切ろうと思って取り組みました。いまでもメンバーと議論をしながら、常にこの目標に向けて改善を続けています。

同時に、高校受験で終えてしまうことにはぶつ切り感を感じている自分もいました。高校受験は一つのプロジェクトではあるけれど、もう少し長い時間軸で大学受験まで関わることができれば、子どもたちの選択と成長をもっとサポートできるかもしれない、と。そんなことをもやもや考えていた矢先に、何名かの卒塾生から高校生部門の開講を期待する声をもらいました。大手の塾もたくさんある中で、名もない学習塾に飛び込んでくれた卒塾生がその先を期待してくれていることは心から嬉しく(!)、自分自身も一緒にチャレンジしたいと思うことができました。

私には、高校生のときに欲しかった学習空間としての学習塾のイメージがはっきりあります。

私が高校生時代に通っていた予備校は、帰り道にあって平日毎日開いていたので気軽に立ち寄ることができました。家だと中々勉強できないことも多かったので、わずかな時間でも立ち寄りました。それによって、学習習慣ができました。また、映像授業のカリキュラムが明確だったので道筋がはっきり見えていたこともよかったことです。適切な学習の道筋があり、適切な学習習慣がつけば学力は上がります。これらの価値は前提として届けます。

そして、もう一つ欲しかったもの。大人になって振り返って、絶対にあったほうが良いと思うもの。それは、自分の進路について考えたり、ディスカッションできる機会と場所です。私は大学を選ぶときにあまり進路選択について考えませんでした。その結果、大学1年生のとき、授業がつまらなすぎてやめたいとまで思いました。親にもやめて別の大学・別の学部を受験したい、とも言いました。それでも、残りの大学生活をどう過ごすべきかを考えるきっかけとなる出会いに恵まれ、2年生以降は留学など大学の外に活動の場でとても充実した時間を過ごせました。でも、やっぱり思うことがあります。大学でもっと好きなことを勉強すればよかった、と。もっと真剣に決めればよかった、と。もっと言えば、その選択を正解にする活動を学部の研究に求めればよかった、と。だから、これから大学に進学していく子どもたちには悔いの残らない選択をして欲しい。そんな思いがあります。貴重な4年間という時間と、決して安くない授業料を投資するのですから。

情報収集がしやすい時代になったので、必要なことは情報を集め一つひとつの情報を体系的に整理して「自分事」に落とし込んでいき、「自分事」として選択することだと思います。子どもたちとコミュニケーションを取りながら、私ができることや必要なサポートを手足頭を動かして取り組んでいきます。

ここまでは絶対にやり切ること。

出典:「国や社会に対する意識」18歳調査。日本と世界の回答に驚異的乖離

あと、もう一つチャレンジしたいことは、自分と社会に対する自己効力感を高めること。教育関連のイベントに参加したりすると日本の危機として、このグラフを目にすることがよくあります。人の幸福度は「他者や社会への貢献」に起因するという研究がありますが、一方で、このデータは日本人の若者は社会に対する自己効力感が低いということを示しています。

ただ、高校受験の小論文や面接の練習、それから志望校について相談する機会を通じて、「途上国の経済格差について」「アメリカの人種差別について」「教室のいじめについて」など様々な社会課題について話をしてくれる子どもたちがいました。色々議論しました。いまの子どもたちは、教科書で普通にSDGsなどに触れているので社会課題への関心が高い子も多いように感じます。「社会課題について知り、考える機会」「自分を知り、自分とのつながりを考える機会」、そして「勉強等を通じて自信を持つ機会」を届け、「大学で◯◯をやりたい」「大人になったら◯◯をやりたい」「何かに挑戦したい」という前向きな気持ちで卒塾していけるような場所にしたい。具体的な方法論は、まだわかりませんが、希望者を募ってプチゼミみたいなこともやりたいなと思っています。

塾・予備校としての価値は当然のことのように届け、同時に、視野を広げ視座の上がるような機会を届けたい。どうせやるんだから、それくらい意味のあることをしたい。そんな挑戦を子どもたちとともにしていきたい。

ということでとてもワクワクしております!

高校生部門のHP:https://cschool.education/hs/