「仮の答え」を更新し続ける。

昨日、卒塾生と保護者の方が揃って今後のことについて相談に来てくれました。卒塾後も続く人生を共有してもらえることはとても嬉しく、塾やってよかったなぁと思います。力になれるように頑張っていきたい。

さて、今日は「やりたいことの見つけ方」について。私はいまの仕事に誇りを持っているので、周りの友人からも「やりたいことやれてていいよなー」なんて言われたりもします。私なりの仮説があり、中高生と将来の話をしたりする中で、よく話していることを文章で書いてみたいと思います。

結論から言うと、

①やりたいことはやってみないとわからないから

②仮の答えを決めて

③全力でやってみて振り返る

その繰り返しをした結果、「やりたいこと」や「好きなこと」が見つかることがある。もしくは、いまやっていることが「やりたいこと」に変わっていく。と思っています。

youtubeのCMで「好きなことを仕事にしよう」なんてやっているから、「やりたいこと」や「好きなこと」が最初から決まっていたり、降ってくるような気がしてしまうけど、実際にはそんなことってほとんどないんじゃないかなと思います。

だから、まずは「仮の答え」をおいて信じてやり切ってみる。やってみたら必ず学びがある。そのプロセスから得られる力もあるし、それが本当にやりたいことだったのかどうか、確かめることができる。

例えば、私たちは塾なので、子どもたちの受験で言うと、本当に行きたい高校を見つけて合格してほしい。一方で、逆説的ですが、「本当に行きたい高校だったかどうか」は入ってみないとわからない。学校説明会に何度も足を運んで、考え抜いて、受験勉強頑張り抜いて入学する。この時点では「成功」であることは間違いありません。でも、入学後にどう感じるかは入ってみないとわからない。この学校に来られて最高だ!って思うこともあれば、思ってたのと違う…ってこともある。どんなに考え抜いても、です。

そりゃそうで、どんなに「美味しそうに見える料理」も食べてみたら美味しいかもしれないし、まずいかもしれない。でも、食べてみなければわからない。そういうことだと思います。

じゃあ、もし高校に入って思っていた生活と違ったら失敗なのかというと、失敗ではない。自分の人生の成功のきっかけを掴んだと私は捉えます。その環境で、また「仮の答え」を決めて挑戦すれば良い。新しい部活や課外活動を始めてみたって良いし、将来の仮の答えを決めて大学受験の勉強に励んだって良い。

美味しそうな料理がまずかったとき。別の料理を探すこともできるし、その料理の味付けを変えることもできます。自分にとっての「まずい」がわかれば次の行動が取れる。

この世の中、やってみたらおもしろいことは腐るほどあるんです。でも、やってみないと気づけない。そんな「仮の答え」に対する答え合わせをする挑戦を繰り返していけば、「やりたいこと」や「なりたい自分」に出会える。

感覚としては、そのプロセスで、日々のことが「やりたいこと」に変わっていって、徐々に「なりたい自分」への変化を遂げていくと私は思います。「やりたいこと」や「なりたい自分」を点で考えると、唯一無二の答えがあるような気がしてしまうけど、実は日々の試行錯誤が線となってつながっていく。

やりたいことをやってるように見える人って、常にやりたいことやっているように見えることってありませんか。

でも、それって単純に「仮の答えを決めて行動すること」をひたすら繰り返しているから、「やりたいこと」に出会えている数が多く、またいろんなことが線でつながっていって、やりたくないことすらもやりたいことに変わっていっているのだと思います。きっと、たくさん「そんなはずじゃなかった」という経験もしています。また、その経験が多すぎて、「そんなはずじゃなかった」を、捉え方や行動で「やりたいこと」に変えてしまう力すらもついていきます。

というのは、私が自分の経験を通して感じているからです。大学1年生まで「仮の答え」を決めることから逃げていました。誰かに「答えっぽいもの」を与えてもらうのを待っていた。「やりたいことがない」「大学生活つまらない」と。

でも、あるきっかけで「仮の答え」を決めて、行動するようになりました。留学に言って、海外20カ国くらい旅してみて、海外でインターンシップして、社会人になれば、就職して、転職して、仕事のやり方や人との関わり方を変えてみて、起業して。

「これやりたいかも!?」と思って行動して、何度も「こんなはずじゃなかったのに」って思って、「何で違ったんだろう」って振り返って、その瞬間の捉え方や行動で「正解へ変える努力」をしたり、時に我慢をしながら自分の心の声と向き合って、次の「仮の答え」を探し求めたりして。その繰り返し。その歩みを止めないことで、「やり切った」と思える納得した人生が歩めるんじゃないか、と思っています。

もっと言えば、それを繰り返していると「こんなはずじゃなかったのに!」すら楽しめるようになってきます。「こんなはずじゃなかったのに!」ということにぶつかったとき、自分を変えて、正解を作っていくことにチャレンジをする。すると、すんなりうまくいったときよりも、成長を感じられてすごく楽しい。嫌だなーと思うことすらも、どうしたらよくなるか考えて、行動して、自分を変えていく。他責にしない。これ、難しいけど、できます。私もまだまだ成長が必要ですが、できると確信しています。ピンチは成長のチャンス。そう捉えられるようになると、すべての行動に失敗がなくなります。

だから、いまでも常に「仮の答え」を更新し続けています。

今年は高校生向けのコースも始めたし、新しいメンバーにも入ってもらいました。答え合わせをするにはまだ早いかもしれないけれど、卒塾生がまた帰ってきてくれる高校生部門を作れて幸せな瞬間は増えたし、新しいメンバーが入ってくれて楽しい瞬間が増えました。もちろん、想像と違ったことだって起きてきます。

でも、答えのない一度きりの人生、たくさん仮説検証(仮の答えと答え合わせ)して「好きな瞬間」をたくさん探して、「嫌な瞬間」を「成長する瞬間」に変えていった方が楽しい。もちろん、苦労も伴うんだけれど、私はそう思います。

と熱く書きたくなったのも、相談しにきてくれた高校生がまさにそんなプロセスを歩んでいたから。いまの自分の環境と感情を見つめて、「仮の答え」をいくつか用意して、保護者の方と向き合って相談して。「仮の答え」を決めるための情報収集の最中で、相談に来てくれたのだと思うけど、どんな「仮の答え」にしようと、いま歩んでいる過程にすごく大きな価値があると思います。私は高校時代、誰かに答えを与えてもらうのをずっと待っていたから、主体的に生きる姿勢を見て、心から素晴らしいと思いました。自分の人生の答えは、誰かが与えててくれることはない。自分の人生は自分で正解にしていくしかない。

改めて「仮の答えを決めて、そこまでやり切る力」を届けられる塾になりたい、「本当にいきたい学校を決めて、合格できるようにやり切る」プロセスを伴走したい、「嫌だなと思っていた勉強すらも楽しいと思える瞬間に変える」塾でありたい、そして、未来の環境で、困った時はいつでも相談に帰ってこられる場所でありたい。

そう思えた出来事でした!