「やり切る力を育む」塾を目指す!

最近のC.schoolのテーマは「やり切る力」。

教育の世界でも盛んに叫ばれる「非認知能力」の一つ「Grit(グリット)」として定義されているものでもあります。Gritは、Guts(困難に立ち向かう能力)Resilience(立ち直る力)Initiative(自発的に取り組む力)Tenacity(執念を持ってやり切る力)の 頭文字を取ったものです。

私たちは、講師として勉強をできるだけわかりやすく教えられるように日々取り組んでいますが、一方で最終的に学力を上げられるかどうかは、多くの場合、「いかに上手に教えられたか」よりも「子ども自身がやり切るまで伴走できてたかどうか」の方が遥かに影響が大きいように感じています。

どんなに上手に教えてその場で理解を深めてもらっても、翌日に本人が復習しなければ、テスト当日にはすっかり忘れて点数に繋がらない。そんなことがざらにあります。

じゃあ私たちは何をすべきなのかと考えると、「やり切るプロセスを構築し、伴走仕切ること」と(本質的にはこっちで)「やり切る力を育むこと」だと考えています。

まず、前者に関しては、中学生から高校生まで、次回の定期テストに向けて「やり切るべきこと」をできるだけ具体的に可視化し、私たちの方で進捗を管理する取り組みを始めました。最終的には、子どもたち自身が自己管理までできるようになってほしいのですが、最初はその成功体験を積むまで伴走することが私たち大人の教育者としての役割だと思っています。

また、後者の「やり切る力を育むこと」を実現するために、私たちも日々勉強です。

中学生を二つのグループに分けて数学の授業を行い、指導者の声掛けの仕方を変えてみたのです。
一方のグループは「成功のみのプログラム」で、授業の終わりには必ず褒められ、ご褒美をもらえます。
そんな環境で数週間、数学の問題を解いたのです。もう一方のグループは「解釈改善プログラム」で、「もうちょっとがんばるべきだったね」と指摘していきました。

数週間後、二つのグループが合流し、難問と易しい問題の入り混じったテストに臨みました。結果はどうなったと思いますか?

褒められてばかりのグループの生徒は、難問を前にして諦めてしまいました。しかし、解釈改善プログラムのグループの生徒は、粘り強く難問にチャレンジしたのです。

褒められてばかりの生徒たちの方がやる気に溢れているように思えますが「失敗=自分の能力の低さを露呈するので、恥ずかしい」というような、失敗を回避する思考になっています。

逆に指摘を受けてきた生徒は「問題が解けないのは自分の能力が足りないからではなく、努力が足りないだけ」というように失敗への解釈が変わっていたのです。

やり抜く力・グリッドはどう鍛える?塾教育と自己制御的要素の関係性(Bit campus公式ブログ)

例えば、子どもたちへの声かけ一つで、勉強に励む姿勢が変わってしまうという実験結果があります。私たちの実践とこのような理論を行ったり来たりしながら、「やり切る力を育む方法論」を確立していきたいと思っています。

まずは塾講師自身が、グリッドを身につけることが重要です。ダックワース氏は、グリットを鍛えるためには「情熱」が重要だと述べています。情熱の根源は「興味」だと言われ、興味を持ったことに対してさらに深く掘り下げる努力を行うことで、やがて情熱へと変化します。さらにこの情熱を支えるためには「人々や社会の幸福に貢献したい」という意思が重要です。これが「目的」となります。自分のやることにそういった意義を感じることができれば、グリットは強くなるのです。

確固たる目的を抱くようになったきっかけとして、若い頃に、目的を持った生き方の手本となる人物に出会っているというケースが多く見られます。講師がこういった「ロールモデル」になることで、生徒のグリットを鍛えることができるというわけです。

目的を持った生き方は楽なものではありません。困難を乗り越え、挫折に打ち勝つ必要があります。とても大変なものですが、同時に素晴らしく充実したものでもあります。

生徒が講師の言動を目の当たりにして、それを実感することができれば、目的を持った生き方に憧れを抱くようになり、努力は決して無駄にならないことを学ぶのです。

講師は生徒に、どのような大人に成長してほしいのかを強く語り掛けるべきでしょう。

そしてそれ以前に自分自身が社会に貢献するための目的意識を持ち、そういった取り組みを実践してく必要があります。

やり抜く力・グリッドはどう鍛える?塾教育と自己制御的要素の関係性(Bit campus公式ブログ)

また、こちらは本当に共感することであり、自戒の念も込めて引用します。このようなロールモデルに自分自身がなること、なれる人を教育業界に増やすことが私が塾を作った本質的な理由です。私自身が、「目的を持った生き方の手本となる人物」に出会って人生が変わったから、その経験を一人でも多くの子どもたちに届けたいんです。

学習塾として、「勉強ができるようになる」「学力向上する」は当たり前の機能として成長させていく。でも、それだけではなく、「目的を持った生き方から影響を受ける機会」を生み出したい。

私が実現したい教育の本質は、受験や勉強を通じて、子どもたちに成長してほしい姿を語り続け、そしてその姿を講師自身が示し続けること。自分の人生を振り返っても、自分の人生に響いているのは「何を言われたか」ではなく「その人の生き方」です。

人生のロールモデルに出会うことで一人の人生が変わり、その連鎖で、より前向きな人生が増えていくと信じています。その出会いは、単発の出会いではなく、自分に寄り添ってくれながら、人生への向き合い方を示してくれる関係性の中で生まれる出会いだと思っていて、その出会いが、中高生の進路選択のタイミングであるべきだというのが私の思いです。だから、子どもたちの人生の岐路でもある進路選択(受験)は、最適な手段だと思っているのです。

自分自身が姿勢で示すことができるようにがんばっていきたいと思います!