子どもと関わる大人が心豊かであるために〜マインドフルネスのすすめ

この投稿を読んでくださっている、保護者のみなさまや教育関係者の方々、予期せぬ行動や反応が返ってくる子どもたちと日々関わる中で、自分の心が消耗しているなと感じることはありませんか。または、子どもとの関わりに限らず、日々の仕事や家庭環境の中での人間関係で、感情に振り回され、自分らしくあれない、と思うことはないでしょうか。

私はあります。そして、最も私が周りの人に(いや、本質的には自分自身の感情に)振り回されていたのは教員時代です。子どもの集団と対峙する中で、子どもたちがこちらが意図した通りに動いてくれないことが多々ありました。例えば、何度真剣に話しても約束を守らない子どもたち。いつも自分に対して無視をしたり、暴言を吐く子どもたち。このような環境下で、時に自分の想像を超えた怒りが、自分の中から湧き出てしまい、激しい叱責をしてしまうこともありました。結果として、子どもたちとの信頼関係を損ないましたし、明らかに、自分自身の消耗を感じていました。

そんな教員時代から開始し、2~3年前に本格的な研修を受けて、毎朝20分継続しているマインドフルネス瞑想について書きたいと思います。

マインドフルネス瞑想のメリットは様々言われていますが、私自身がもっとも顕著に効果を感じていることは「感情に気づくようになったこと」。自分の感情に気づき、自分を受け入れられるようになっていき、そうすると、他人の感情にも気づき、他人も受け入れられるようになっていく。

感情に気づくようになると、反応を選択できるようになる。例えば、「怒り」という感情は二次感情と言われています。何かの出来事に「怒り」の反応をしてしまったとき、その大元には、苛立ち、不安、恥ずかしさ、悲しみ、心配、などの感情があります。その感情に気づくトレーニングをしていくと「怒り」という二次感情を選択しないことができるようになっていくのです。大元の感情に気づき、冷静に考える余裕が生まれます。

まだまだ私自身トレーニングの最中ですが、おそらくこれは人生でずっとトレーニングし続けるべき「心の筋トレ」だと思っています。

瞑想というと、なんとなくスピリチュアルな感じがするかもしれませんが、マインドフルネスの実践によって、ストレス軽減効果や生産性向上効果があることは、科学的に実証されているもの。Googleが社内研修に取り入れたことで大変話題になりました。

また、アメリカの小学校では、マインドフルネス瞑想を取り入れ、集中力が高まり学力が向上した事例や、荒れていた学校が立ち直った事例などがあります。それから、日々の不安を軽減する効果があることから、うつ病の予防や治療にも使われています。最近では、日本の学校教育で取り入れることを進めているベンチャー企業があるようです。

▶︎参考
エビデンスを得て、日本の学校教育に「マインドフルネス」を届けたい|瞑想サロン・MELONの挑戦(Yahooニュース)
脳の構造を変える! マインドフルネスって何?(日経ビジネス)

マインドフルネス瞑想のやり方は色々あるようですが、私が実践しているのは、呼吸瞑想。毎朝20分間、座禅を組み、一点を見つめ(集中が逸れるときは目を瞑り)、呼吸に集中します。

ここで、いまこの記事を読んでいる方。いま目を閉じて、1分間、無になってみてください。

ほとんどの方が無になれなかったのではないかと思います。目を閉じていると、様々な感情や思考が生まれてくる。

(お腹すいたなー、眠いなー、そういえばあのときのあいつなんであんな言い方したんだろう、腹立つなー、来週期限の仕事終わるかな、こんなことしてる場合じゃないやあのメール返さなきゃ)

もう本当に、雑多な思考が巡り巡っている。そんなことに「気づいた」でしょうか?もしかしたら、ああ全然違うこと考えている。もういいや、と途中でやめてしまった人も多いかもしれません。

それではここでもう一度、1分間、目を閉じてください。頭の中に何か考えが浮かんできても、「だめだ」とか「うまくいっていない」とか思わなくて大丈夫、ただ、考えが浮かんできたことに気づき、意識を呼吸に戻してください。息を深く吸って、ゆっくり吐く。呼吸に集中します。また考えが出てきても大丈夫です。ただ、”気づいて”ください。

(あー自分、こんなことに考えてるなー。呼吸に意識を戻そう。)

(あー自分、あの出来事にイライラしているんだなー、呼吸に意識を戻そう。)

◯◯について考えている自分に気づき、呼吸に意識を戻すこと。

ただ、ただ、この繰り返しをするのです。

イライラすることを考えてしまったとき、悲しいことを考えてしまったとき、ネガティブなことが頭を巡ったとき、鼓動が早くなったり、体がこわばったりすることがあるかもしれません。それでも大丈夫、ただ自分の頭の中と体の反応に意識を向け、「あー苛立ってるな、鼓動が早まっているな、体がこわばっているな」と”気づき”、また、ゆっくりと呼吸に意識を戻してください。特に、その苛立ちを消そうとしなくて大丈夫。ただ”気づき”、呼吸に意識を戻す。ゆっくり、ゆっくり、心を元の位置に戻します。

イメージとしてはこんな感じです。

このように、自分の頭の中に湧き出てくることに、”気づき”、心のゼロ地点に戻す「心の筋トレ」を繰り返すのです。この習慣ができてくると、日々の中でも自然と、自分の感情に”気づく”ようになります。

子どもと関わっているとき、人と関わっているとき、何か自分の中に湧き出てくる考えや感情に気づく。そのワンクッションがあると、反応を選択できるようになる。

大変感銘を受けて、何度も自分の中に刷り込んでいる言葉で

刺激と反応の間にはスペースがある。そのスペースには,私たちが自分の反応を選択する自由と力がある。そして,その反応こそ,私たちの成長と幸福の鍵を握っている。

7つの習慣 著者:スティーブン・R・コヴィー

というものがあります。この「スペース」に”気づき”、「反応を選択する自由と力」を手に入れるためのトレーニングをマインドフルネス瞑想ですることができると感じています。

私たちは、日々とても多くの感情と反応に支配されて生きているように思います。何かの出来事に極端な反応をしてしまって、あのときの私は私じゃなかったと思うことってあると思います。自分の中には、たくさんの自分がいる。頭の中で、いろんな自分がいろんなことを言っている。どれも自分であって、自分ではないのかもしれない。私は、もう一段上にいる、そんな自分に気づいて、反応を選択する自分こそが本来の自分、なのではないかと思っています。

他人だって同じです。いろんな反応をするけれど、本質的には、よく生きたいと思っているに決まっている。特に、反応的に生きる子どもたち(子どもに限りませんが)と対峙するとき、私はそのように俯瞰するようにしています。この子も何かの感情に突き動かされて反応している。その感情に、私自身が気づこう、と。

人は、感情に支配されてしまって、誤った言動をとってしまうこともあります。その言動は、反応の1パターンでしかなく、自分であるけれど、本当の自分ではないかもしれません。その反応の奥にある感情や思考は何なのか。それに”気づいて”、どう”反応を選択”すれば、より良い自分になれるのか。そんなことを考える「スペース」こそが、人生を豊かにしてくれると思います。

そうすると、自分の反応にも、他人の反応にも、少しだけ優しい眼差しを向けることができるようになっていく。

だから、ほんの少しだけ、「自分の感情に気づく時間」を、自分の人生を取り入れてみる。

私自身は、マインドフルネス瞑想は継続していきたいですし、いつか子どもたち向け、あるいは、大人向けのプログラムを作りたいな、なんて思っています。

1日5分でも効果があるそうです。ぜひこのブログを読んでいただいたみなさんにもお試しいただきたいなと思います。特に、子育てで大変な保護者の皆様。教員時代ですら、大変だったのに、毎日子どもたちと接し、「子どものために」と自分のことを犠牲にすることも多いと思います。自分のことを置き去りにしてしまうことも多いのではないかと想像します。そんな忙しい保護者の方々も1日5分でも、自分の感情に気づき、今この瞬間の自分を大切にする感覚を味わってもらえたら嬉しいなと思います。

なんでこんなことを図々しくも書いているかというと、出会った子どもたちとご家庭の幸せを心より願っているから。そして自分の実践から、マインドフルネス瞑想には、人を豊かにする計り知れない力があると感じているから共有したかったので、書かせていただきました。きっと、この連鎖で世界はより心豊かな場所になっていくのではないかななんて思ってもいます。

具体的な実践方法は、上でも紹介したこの記事が参考になるので、ぜひ読んでみてください!
脳の構造を変える! マインドフルネスって何?(日経ビジネス)

ちなみに、私が読んだ本と出た研修は、このSearch inside yourself。もしご興味があればこちらも読んでみると面白いと思います。

また、最近は停滞感があるので、レベルアップのため以下の書籍で勉強中。読んで効果を実感したらまたブログに書きたいと思います。