多くの子どもたちが勘違いしていること

「わからないから、できない」と言われることがあります。

例えば、最近あった話だと数学の証明。「わからないから、教えてください」と言われたので(もちろん、いまその子が理解できる範囲でポイントを教えた上で)、同時に「模範解答や解説丸写しで良いから、まずは自分の頭で考えながら書いてみな。わからなくてもOK。とりあえず覚えちゃうくらいまで何度も書きながら考えてみることをお勧めします」と伝えました。

なぜなら、多くの子どもたちが「わからないから、できない」と思っていて、思考停止の上「なにもしない」ということを選択してしまうのですが、実は「できてから、わかる」ことも多いもの。数学の証明で言えば、証明が型通りに書けるようになっちゃってから(あるいは書けるようになろうとするプロセスの中で)、そのロジックがわかってくることがある。とにかく手を動かしまくっているうちに(丸暗記していくうちに)理解が深まってくる。この感覚を子どもたちに掴んでもらいたいのです。

(ちなみに、これって大人の仕事でも同じですよね。自分の与えられた仕事が「できる」ようになってから、その本当の意味が「わかる」ようになってくるものです。)

手を動かすからこそ、頭が動く。私が習った物凄く優秀でわかりやすかった大学の先生は「みなさんの手はみなさんの頭より、”頭”が良い」と言っていました。まずは手を動かせ、ということです。

もちろん、なんでもかんでも、ただ丸暗記すれば良いと言っているのではありません。暗記教育の弊害がよく言われるが故に、暗記することが悪のような捉え方をしがち(勉強する側視点からしても”暗記は意味ない”と言った方が面倒が省けて楽になる)ですが、実際には暗記と理解は分断されたものとは限らず、両者を行ったり来たりする中で理解が深まっていくのです。暗記することは理解することの手段になり得る。

実際にやってもらえばわかりますが、暗記する前に教えてもらうよりも、何度も何度も書いて”理解しようとして”とりあえず覚えた上で、教えてもらって理解を深める方が遥かに理解は深まります。少なくともいまやっていることの輪郭がわかるから、何の話をしているのかわかりますし、自分の手と頭を動かしているので、自分がどこが理解できていないのか、言語化できているにせよできていないにせよ、詳細にわかっている(感じている)からです。

繰り返しになりますが、ただ丸暗記することを推奨しているのではありません。丸暗記するくらい手を動かしながら頭を動かすことで理解が深まるということ、また、丸暗記しちゃってできるようになってからわかることがあるということを伝えたいのです。

自転車の乗り方を何度も教わってないで、ある程度聞いたら、あとは何度も転んで練習すべき、ということです。何度も転んで、それでも乗れるようにならないときに、もう一度教えてもらうアドバイスはもっと役に立つでしょう。

100%理解できてなくても、できるようになる。できるようになると、100%理解できるようになる。こういう順番のことも多いんです。「教えてもらえば、わかる」「わかれば、できる」必ずしもこの順番ではないということ。この感覚を知らないと「わからない」に逃げてしまうんですよね。「わからないから、やらない」になってしまう。手を動かすのが大変だからだと思います。

今日の講師陣での学力向上ミーティングではこんな話を議論しました。私たちはみんな「この感覚」を共有しています。「この感覚を子どもたちみんなに掴んでもらうにはどうしたら良いか?」を念頭に、新学年最初の定期テストに向けたカリキュラム改善を議論しました。小テストの内容や教え方、いま各学年がやっている単元をできるようしていくための詳細のプロセスなどなど。C.schoolの学習プロセスや試験前特訓の質は、どんどんよくなっていくと思います!