毎月、月初に研修を行っています。今月は「塾生ビジョン研修」。講師各自がC.schoolを卒塾したときに、子どもたちにどんな状態になっていて欲しいか、そしてそのために自分ができること、あるいは、いまの自分に足りていないことは何かを発表し、質疑を行うことで自己理解と相互理解を深めていきました。
日々学習塾として、目の前の課題と向き合いながら格闘しています。私たちは理想主義者でありながら、現実主義者でもあるので、毎週毎週目の前にある数字(子どもたちの学力)と向き合い、その事実の背景にある課題を言語化し、解決するアクションを取るというサイクルを回しています。いまもまさに、9月の定期テストが終わったタイミングで、塾としての課題、個々の講師としての課題を明らかにし、解決するアクションに日々取り組んでいます。学力が上がった子どもたちの成功パターンを再現性ある形へと昇華し、うまく行かなかった子たちの課題を徹底的に言語化し、日々のアクションレベルまで具体化して解決していきます。
今回の中学生の定期テストを振り返り、新たに取り組んでいるアクションについては、近々関屋がyoutube liveで紹介してくれる予定です。具体的な取り組みを磨き、子どもたちとともに私たちも成長していきます。
同時に、私たちが大事にしたいことは、子どもたちの未来に思いを馳せることです。なぜならこの塾を立ち上げた理由は、「学力向上」や「受験」を通じて、「幸せになる力」を届けたいと考えているからです。「学力向上」という同じことを目的にしていても、関わる講師の思いや関わり方で、+αで得られるものが変わってくるからです。
例えば、「10キロのダイエット」を目標とした人がいて、自分が伴走するコーチだとします。
ビジョンが「美しく健康であるため」であれば、栄養についての知識や人間の体のメカニズムを伝えながら、健康的に実践できるプログラムを提供します。それは、生活習慣を変えたり、その人の意識レベルでの変革を求める関わりが必要かもしれません。運動や早寝早起きなど「ダイエット」の枠を超えて、よりよく生きるための関わりをしていきます。一方で、ビジョンがなければ、とにかく痩せることが目的となり近視眼的なアプローチが中心になります。無理な食事制限やサプリメントなど。多くの場合、リバウンドするのが目に見えるアプローチです。短期的な解決策は「一見楽」なんですよね。
同じように「10キロのダイエット」を実現したとしても、そのプロセスのあり方でその後の人生が変わってくるのではないでしょうか。前者であれば、「美しく健康に生きる」喜びを知り、その後の人生も健康を意識しながら生活を続けることができる。後者であれば、ダイエットが苦痛であるという認識で終わるかもしれません。生活習慣そのものが変わっていないので、短期的なダイエットで終わりそうです。
私は、これと同じことが「学力向上」でも言えると思うのです。ビジョンなき「学力向上」に取り組むと、チート的な勉強方法や拷問的な勉強になりかねません。そうなってしまうと、たとえ短期的に「学力向上」したとしても、学び続ける意欲は育まれず、学ぶことをやめてしまう。人生を通した中長期で「学力向上」が難しくなってしまうと思うのです。
一方でビジョンを持った「学力向上」の場合。
自分の解釈ですが、関屋が発表してくれたビジョンを紹介します。
「やりきった先の成功体験」→「やりきった先に意思を持てている状態」→「自分の意思のもとにやりきることができる」
関屋自身の原体験をもとに、定期テストや受験を通じてこのようなプロセスを経験して欲しいという願いを発表していました。これが自分の経験に基づいた幸せになる力だと言っていたのが印象的でした。
これは日々の勉強に落とし込むと、
最初は塾のカリキュラムや学校の勉強で先生たちに言われたことかもしれないけど、やり切ることで、点数アップなどの成功体験を積む
→そうすると、自信がつく。自己肯定感が高まる。
→もっとやってみたいと思う=自分の意思が芽生える
→自分の意思で立てた目標(定期テストや受験)に対してやり切る=自己効力感が高まる
→自分で自分の未来を切り拓いていく自信と力を手にする。
ということだと思います。
これは非常に共感でき、結局自分もそんなプロセスを歩ませてもらったからこそ、いまでも学び続けたいと思えていると感じます。
こういうビジョンがあるから、「学力向上」を実現するプロセスでも、一人ひとりに何度も何度も前向きな声をかけ、なんとか成功体験を詰めるように向き合い続けているのです。関屋自身が普段から「やり切る」姿勢で日々を過ごしているので非常に説得力がありましたし、子どもたちにもきっとこの姿勢や在り方は伝わっていくと思います。結局、最後はその人の行動が伴っているかどうかがすべてだから。
藤井さんの発表の中には、
「自分の良いと思ったものを信じて生きられる子どもたちになって欲しい」→そのためには、「自分の行動や選択の責任を引き受けるに、世の中を「知る」ということが不可欠」→だからこそ「勉強するスキルを身につけてほしい」
具体的には、「習慣化のスキル(モチベーションに頼らず勉強を続けるスキル)」「論理的に考える、理解するスキル」「ノートの取り方、暗記法、教科ごとの勉強法などの細かい学習スキル」「目標達成のスキル(目標と現状の差分を冷静に見るスキル)」を伝えたい
ということがありました。
これにも非常に共感しました。子どもの頃はわからなかったけれど、大人になって、あらゆることが中高生の学習が土台になっているということ、中高生の定期試験や受験で培った勉強するスキルが、未知の世界の中で、自分の未来を切り拓いていく力になっていることに気づきます。このようなビジョンを持って、「学力向上」に取り組むからこそ、そのプロセスや子どもたちとのコミュニケーションにこだわりや想いが滲み出てきます。例えば、「同じ単語テスト」に取り組み、「同じ点数」を取ったとしても、+αで得られるものが全然違ってくる。
そして、そのプロセスやコミュニケーションの積み重ねで子どもたちに届けたかったものを届けることができる。一旦のゴールである「受験」で終わらない、未来の糧になる力を届けることができる。そう信じています。
C.schoolのCはCreate your own future 自分の未来を切り開くのC。それぞれのビジョンはすべてここにつながっています。
目の前の課題解決は常に重要です。「学力向上」できる仕組みをがっつり作り込む。同時に、今回のように時々自分たちの理想を見つめ直し、現実との差分を認識する。そして、日々の取り組みに乗せる想いは忘れないようにしたいと思います。理想と現実、熱い想いと冷静な思考、マクロとミクロ、行ったり来たりしながら、一人ひとりの子どもたちにとって「通ってよかった」と思える塾にしていきたい。がんばります。