勉強に、感動を。

「学校教員を辞めて、なぜ塾を始めたんですか?」

よく聞かれる質問で、自問自答を続けていることでもあります。そもそも、教育に関わりたいと思ったきっかけは子どもたちの「主体的な進路選択」を支援したいと思ったから。自分自身が大学に入って「自分の頭で、自分の人生を考える力」がまったくないことに絶望し、レールの上を上手に歩むことを徹底させる教育に違和感を持ったことがきっかけです。

自分の人生を納得して選択する力と機会を届けたい。最初の人生選択に近い、高校選択。大学選択。そこで、自分の頭で考えて、自分の覚悟で行動して選択することができたら、きっとその先の未来も自分らしく生きていけるはずだ。そんなビジョンがあります。

そして、学校教員を経験して、より進路選択に近い位置で、より個人と深く関われる仕事がしたいと思い、塾を作りました。こんなにやりがいのある仕事は他にないんじゃないかと思うくらい、素晴らしい出会いと経験をさせてもらっています。

それから2年が経ち、たくさんの子どもたちや保護者の方々と深く関わる中で、新たな思いがふつふつと湧いてきています。それは、無機質になりがちな受験や勉強に「圧倒的な感動体験」を届けたい、ということです。

勉強に、感動を。

勉強と一言で言っても、いろんな切り口があり、いろんな感動があります。日々の勉強、定期テスト、受験勉強。目標設定、進路相談、日々のコミュニケーション。卒塾するまでの様々なプロセスに様々な感動を生み出したい。

勉強そのものに対するか感動。教科そのもののおもしろさに気づいた感動。勉強自体のおもしろさに気づいた感動。

成長を感じる感動。勉強のやり方がわかった感動。勉強ができるようになった感動。成功体験を積めた感動。圧倒的に努力ができるようになった感動。挫折を乗り越えた感動。

だれかと一緒に目標に向かってがんばる感動。だれかと支えあった感動。仲間と励ましあった感動。

人生が変わる感動。新たな気づきが得られた感動。こんな学校に行きたい!そんな学校に出会えた感動。なりたかった自分に近づけた!そんな感動。

私たちは、この「感動」を生み出すに、一瞬一瞬を積み重ねています。

そして、私がやはり一番生み出したい感動は、圧倒的な行動で圧倒的に人生を変えていく感動体験です。最終的には、自分の人生は自分の行動でしか変えていけません。でも、その行動のきっかけは、近くにいる人が圧倒的に行動していく姿を目にすることだと思っています。コンテンツや聞こえの良いアドバイスでは人は動かない。だから私たちは、自分たち自身が圧倒的に子どもたちと向き合い、圧倒的に学び続け、圧倒的に行動する。一人ひとりにとって本当に必要なタイミングで150%の力で届けられるように、日々の関わりを大切にして、その瞬間を虎視眈々と狙っています。

そして、子どもたちが自分の人生を変えていこうと思えるきっかけを。さらには、子どもたちが自分の人生を変えられたと思える経験を。人生が変わった!がんばってよかった!そんな感動を生み出したい。

最後にイソップ寓話の3人のレンガ積み職人のお話を紹介します。3人の職人さんに「何をしているのですか?」と聞いたときの返事の内容で、10年後の未来が変わってくるというもの。

1人目の職人は「レンガを積んでるに決まっているだろ」
2人目の職人は「家族を養うためにやっているんだよ」
3人目の職人は「歴史に残る大聖堂を作ってるんだ」

同じ作業をしていても、目的意識が違う。1人目は作業をこなすこと、2人目はお金を稼ぐこと、3人目は使命を果たすこと。10年後、1人目は、同じくレンガ積み職人を続けており、2人目は、給与は上がったけど危険な仕事をしており、3人目は現場の監督になり大聖堂にその人の名前がつけられた。そんなお話しです。

勉強でも同じこと。
「やらなければならないからやってるんだ」と作業をこなすことが目的化している人、「テストで点数とるためにやってるんだ」と評価の獲得が目的化している人、「自分の人生を、社会を変えるために学んでるんだ」自己実現を目的化している人。
捉え方次第で、大人になってからの人生、変わりますよね。最後の捉え方をできるようになったら、きっと学び続けて自分の未来を切り開いていける人になれると信じています。でも、勉強ってどうしても、「やらなければならない」とか「偏差値上げるため」とかが目的化しがち。この習慣のまま生きていくと、受験勉強のレールの最終地点が大学合格になり、大学に入ってもなんのために大学きたんだっけ?となりかねません。でも、大学に入学後は、自分で目的を持って学び続ける必要があります。もうそこにはレールも偏差値もありません。その後は、勉強にも仕事にも自分で意味付けをしていく必要があります。

だから、勉強や受験勉強の捉え方を変えていきたい。歩むレールを自分なりに意味付けして前向きに生きる力を身につけてほしい。子ども時代にたくさん時間を使う勉強を「やらなければならない」とか「テストの点数をとるため」だけじゃ、おもしろくない。「自分の人生や未来を変えるため」そんな意味付けをできるように一緒に取り組んでいきたいと思っています。

大人の私たちも同じこと。人生の多くの時間を仕事に費やしています。「仕事だから」「お金を稼ぐためだから」だけではおもしろくない。だから、本気で「出会った子どもの人生に貢献するため」に日々仕事しています。子どもたちと関わっている瞬間は本当に楽しいですが、塾を運営していく上では、やりたくない雑務もいっぱいあります。でもすべては出会った子どもたちの人生に貢献するため。そう思えなくなったとき、私たちの成長は止まってしまうし、自分たちが塾をやる意味はなくなるでしょう。塾なんて無限にありますからね!

勉強に、感動を生み出したい

信念を持って引き続きがんばっていきたいと思います。